◆大腸菌 [Escherichia coli]

 大腸菌は腸内細菌科に属するグラム陰性の桿菌である。多くの菌は周毛性の鞭毛を持ち、活発に運動する。他の腸内細菌科の細菌と区別しうる生化学的性状として、多くの場合大腸菌は乳糖分解能を持つ。血清学的に耐熱性のO抗原(菌体抗原)、易熱性のK抗原(莢膜抗原)とH抗原(鞭毛抗原)により分類される。大部分の大腸菌はヒトに病原性を持たないが、一部病原性を示すものがある。
病原性のある大腸菌は、1) 腸管病原性大腸菌(EPEC)、2) 腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)、 3)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、4)腸管出血性大腸菌(EPEC)と5)腸管付着性大腸菌(EAEC)の5つに分類される。この中で、腸管出血性大腸菌O157:H7は赤痢菌と同様に志賀毒素を産生し、1996年に大阪府堺市でおきた学校給食による大量食中毒で有名になったが、ほかの大腸菌も、様々な外毒素を産生し、色々な病気を起こす事が知られている。
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