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121.ケネディを大統領にしたカビ. 12-21-98.

  1. 病気はコンタギオンで伝染する
  2.  大昔からカゼや結核のようなある種の病気が人から人に伝染し、また湖沼地帯におけるマラリアのように、ある地域に特に流行することが知られていました。このようなことから病気は、接触によって人から人へと伝染するとか、空中に存在する何物かによって起こされるという考えがありました。コンタギオンcontagionという言葉は、接触を意味するラテン語contagioに由来し、病気の伝播を意味しています。医者のなかには、感染因子は揮発性であると信じていた者もいました。例えば、イタリア語のマラリアmalariaは、沼地などの湿地から何か悪いものが昇っている「悪い空気」を意味しています。

     

  3. ポテト立ち枯れ病
  4.  微生物が病気に対して重要な役割をはたすということが最初に実証されたのは、1845年頃です。それは、数年間にわたって全アイルランドのポテト畑を荒廃させた恐るべきたたりのような「ポテト立ち枯れ病」でした。アイルランドのポテト立ち枯れ病は、国民に深刻な食糧不足を起こし、貧しい百万人以上の人が死亡し、人口を800万人から400万人以下に減少させてしまった。

    ポテト立ち枯れ病が大流行した年は、雨と霧が多く、春も寒かった。悪天候が病気の原因であると人々は信じていました。イギリスのアマチュア植物学者のマイルズ・バークレー牧師は、ポテトの葉を顕微鏡で観察して、今日私達がフィトフトラ・インフェスタンスPhytophthora infestansと呼ぶカビを見出しました。ところが植物学者は、素人のたわごととして相手にしませんでした。その後、立ち枯れ病のポテトはフィトフトラ・インフェスタンスPhytophthora infestansというカビに侵されていることを指摘し、このカビが原因であることが証明されました。しかし、1850年頃、植物学者がポテト立ち枯れ病について発見した事実は、人の伝染病の本質に関する医者の考えに残念ながら何らの影響を与えられませんでした。

     

  5. ケネディ大統領の誕生.
  6.  ポテト立ち枯れ病の蔓延で国土は破壊され、あらゆる種類の病気が農村と都市の住民にはびこり、生き残った人々の多くは困窮の結果、アメリカやオーストラリアに生きるために仕方なく移住していきました。大西洋を渡ったアイルランド人の中に、フィツジェラルド家とケネディ家の人々もいました。1917年にジョン・F(フィツジェラルド)・ケネディが生れ、1960年にアメリカ合衆国の大統領となったのでした。

     全米大会で何回も優勝経験のあるアメリカン・フットボールの名門チームの一つに、サンフランシスコ49ersがあります。このチームは、1849年にポテト立ち枯れ病のためにアイルランドからアメリカに移住して来た人々に由来すると聞いた記憶があります。ケネディ家やサンフランシスコ49ersの祖先がポテト立ち枯れ病の原因のカビであるフィトフトラ・インフェスタンスと偶然に出会うことがなかったら、アメリカ大統領や優勝という役割や栄誉を果たすこともなかったのです。歴史の形成にかかわった微生物のはなし第一弾です。

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