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本文中の貨幣単位等の誤りを訂正しました。1999.6.8

138.疾病の国家経済に与えるインパクト. 3-22-99.

  1. アフリカ諸国エイズで寿命が25年も短縮.

 昨日の全国紙朝刊(11年3月20日)に「エイズにより寿命25年短く アフリカ諸国」という小さいけれど驚くべき内容の記事が掲載されていました。

 1998年の世界人口統計で、アフリカ諸国の平均寿命がエイズのために最大25年も短くなっていることが分かったというのです。最も深刻なのはジンバブエで、エイズの患者やHIV感染者がいなければ64.9歳のはずの平均寿命が、実際には39.2歳になってしまった。このほか、マラウイ、ザンビアとスワジランドと平均寿命が30歳代に落ち込んでいる国は計4ヶ国に達したそうです。平均寿命がこれほど短くなった理由は、子供や青年の死亡率が高くなっているためだという結論でした。

 

    表 平均寿命が30歳代になった国
            平 均 寿 命
国 名     期 待 値   実 際 値  人口(百万) エイズ患者数
ジンバブエ   64.9歳  39.2歳 11.0  70,669人
マラウイ    51.1歳  36.6歳  9.8  50,975人
ザンビア    56.2歳  37.1歳  9.5  44,942人
スワジランド  58.5歳  38.5歳  1.0   2,939人

 

A 世界のエイズ情勢。

1998年11月15日現在での世界保健機構の資料から、エイズの現状を紹介します。驚くほど凄まじい勢いでエイズが蔓延している状況を理解して貰いたいと願っています。

世界の総人口は、1990年では53億人程度(現在はもう少し多い)のようです。そのうち12億人が先進諸国に住み、残りの41億人が開発の遅れている国に住んでいるのだそうです。地域別には、世界人口の半分以上がアジア(中国は12億人以上、インドは8.8億人以上)で、ヨーロッパと旧ソ連は15%程度、南北アメリカが14%程度、アフリカは14%程度でオセアニアは0.5%程度であるようです。

世界のエイズ感染者総数は、3,060万人ととうとう3千万人を超えてしまい、1997年度に新たに感染した人は580万人にもなるようです。その88%の患者は、サハラ砂漠以南のアフリカと東南アジアの諸国に限定されています。1998年のエイズ患者数は、1,987,217人になったそうです。その内訳は、アメリカ州は45カ国で総人口は8.01億人のうち患者総数が951,755人と一番多く、アフリカ州は54カ国で総人口は7.63億人のうちで患者は706,318人と二番目に多く、ヨーロッパ州は40カ国で総人口は7.28億人のうち211,352人が患者、アジア州は43カ国で総人口は36.04億人でそのうち患者は108,738人とオセアニア州は15カ国で総人口は3.0千万人のち9,054人がエイズの患者であると書かれています。

 

表 エイズ患者の世界的な分布図

 地 域    構成国   総 人 口    患 者 数

アメリカ州  45カ国  8.01億人  951,755人

アフリカ州  54カ国  7.63億人  706,318人

ヨーロッパ州 40カ国  7.28億人  211,352人

アジア州   43カ国 36.04億人  108,738人

オセアニア州 15カ国  3.0千万人    9,054人

 

国別でみて患者数の多い国とその患者数は、第一位はアメリカ合衆国で691,647人(人口は2.702億人)、第二位はブラジルで128,821人 (人口1.621億人)、第三位はタンザニアで97,621人(人口3.06千万人)、第四位はタイで88,403人(人口6.11千万人)と第五位はケニアで81,492人(2.83千万人)となります。

 

表 エイズ患者の多い五大国

国 名 患 者 数 人 口

アメリカ 691,647人 2.702億人

ブラジル 128,821人 1.621億人

タンザニア 97,621人 3.06千万人

タイ 88,403人 6.11千万人

ケニア 81,492人 2.83千万人

 

アフリカ州では35カ国にエイス患者がいて、1万人以上の患者が報告されている国は、タンザニア(97,621人)、ケニヤ(81,492人)、ジンバブエ(70,669人)、ウガンダ(53,306人)、マラウイ(50,975人)、ザンビア(44,942人)、旧ザイール(コンゴ民主共和国)( 38,426人)、コートダジュール(37,898人)、ガーナ(24,692人)、ナイジェリア(21,905人)、エヒオピア(21,553人)、ルワンダ(15,903人)、カメルーン(13,576人)、南アフリカ(12,825人)、ブルキナハァソ( 11,352人)、コンゴ(10,223人)の16国です。

 

B 癌の経済的なインパクト。

1997年発行の「国民衛生の動向」に記載されている日本人の死因の

うち三大死因と言われる要因は、悪性新生物(俗にいうガン)、心疾患と脳血管疾患となっています。ガンでの死亡者数は263,022人で、心疾患では139,206人および脳血管疾患では146,552人で、この3要因だけで548、780人が1年間に亡くなっています。ガンでの死亡者数は、全死亡者数の28.5%になります。

平成7年度における、ガンによる死亡者数は約26万人ですが、ガン患

者一人が支払う医療費を仮に1千万円とすると、26万人では2兆6千億円の費用が掛かったことになります。所が、40歳から49歳まで働き盛りの人達に限ってもガンによる死亡者数は13,707人にもなります。40歳の人はガンで亡くならなければあと20年間は働けた可能性があり、49歳は少なくとも10年間は働けた計算になります。そこで40歳代の人達が平均してあと15年間働いたと仮定して、年間の賃金が計算し易いために仮に1千万円とすると、1万3千人の人達のみで1兆3千億円を稼ぎ出していたと計算できます。

簡単に説明し直しますと、平成7年度の1年間でガンのための支出は日本全体で2兆6千億円、40歳から49歳までと限定した人達の生涯生産期待額は1兆3千億となり、日本国民の受けたガンの損害は1年間で約4兆円となります。実際は、これよりも遥かいに多額と生命の損失を被っている筈です。

エイズやガン等は計り知れない程の経済的に国力を消耗するもので、東南アジアやアフリカの諸国は、経済の発展と疾病による損失とのバランスから、これからも大変だなと強く感じました。

  1. マーチ・オブ・ダイムMarch of Dime。

1960年代に私はアメリカに留学する機会がありました。その頃、人の出入りの多い場所、例えば、レストラン、スーパーマーケット、映画館、タバコ屋等には、必ず「March of Dime」と書いた小さな箱が人目に付き易い料金支払所などに置いてありました。これは全米どこてでも見られる光景でした。

このマーチ・オブ・ダイムのダイムとは、米国貨幣の10セント硬貨のことです。当時は、1米ドルが公定価格で360円の時代ですから、1ダイムは36円に相当しました。東京の都バスや都電の片道料金が15円、往復料金が25円であったと思います。

さて、このマーチ・オブ・ダイムは、当時では驚くほど恐ろしいポリオの世界的な大流行と米国人の国民性と深い関係がありました。原因ウイルスも予防法や治療法も良く解らなかったポリオの原因ウイルスを徹底的に研究し、ポリオを撲滅することを目的に始まった国民的な募金運動であります。「釣り銭程度の小額な金額でも良いから募金をオネガイします」との民間の協会による運動で、そこに集まった基金は全額ポリオの研究者へ渡されポリオの研究費として使われました。その結果、感染する経路も解りましたし、予防する優秀なワクチンも米国で開発されました。その恩恵を世界中の人が受けているのです。

ガンと一言で表現するほど単純ではありませんが、日本国内でのガンにより被る被害・損失はどう計算しても年間数兆円になります。厚生省、文部省をはじめ国の多くの機関がガン研究に支出する研究補助金は、正確な額は知りませんが、多分年間数百億円にはなるでしょう。

1年間の日本人が被る損失を4兆円と仮定し、その10%に相当する4千億円を10年間にわたりガン撲滅に費やし続けたら、40歳代でガンが原因で亡くなる人を半減できるかも知れません。半減させることに成功できれば、それだけで年間2兆円の利益を生むことになります。4千億のガン研究への投資で2兆円の利益を生み出し、更に尊い命を救える可能性があります。4千億円が高いか安いかは、人により判断が異なるかも知れません。皆さんはどのように考えますか?。

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