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224.コーヒーの効用. 12-11-2000.

曖昧糢糊の217「コーヒーとリューマチの関係」というコーヒーの害についての短い紹介文を掲載しましたら、すぐに「コーヒーの効用」についてのお知らせのメールを受け取りました。寄せられた文をここに紹介させて頂きます。

コーヒーの健康に対する善い効果について。

拝啓,師走の候,先生にはご健勝のこととお慶び申し上げます.「曖昧模糊」のサイトはずいぶん以前より拝見させていただいておりますが,専門的な内容を世間一般の人に判りやすく書かれた解説には,大変敬服すると同時に,いつも勉強させていただいております.私は県立看護学校で微生物学の非常勤講師を兼任しているのですが,先生の文書はその講義にも活かさせていただいています.

ところで,今回更新されました,コーヒーとリウマチに関する報告についてですが,私は以前よりコーヒーに強い関心があり,現在はコーヒーの腸内細菌に対する作用を研究しております.また,そうした関係から,このほど「コーヒーと健康に関する最新研究動向」と題した総説を執筆し,二誌ほどに掲載してもらうこととなっておりますが,そのためにここ10年ほどの研究動向には若干の知識を持っています.

今回,取り上げられたRF陽性関節リウマチの発生リスクに関するHeliovaaraらの論文についても私の総説中で取り上げたのですが,現在のところは当該の文献(Heliovaaraら)以外の報告がないために結論を出すのは時期尚早であろうというのが私の抱いている印象です.今後,異なる実験グループによる追試や,メタアナリシスによる検討,基礎研究による作用メカニズムの解明が待たれているという状況であると考えております.

一方,コーヒーを飲用することによってパーキンソン病の発生リスクの低下Association of Coffee and Caffeine intake with the risk of Parkinson disease, Ross GW et al. JAMA (2000) 283: 2674-9)やまた胆石発生リスクの低下A prospective study of Coffee consumption and the risk of symptomatic Gallstone disease in men, Leitzmann MF et al. JAMA (1999) 281: 2106-12)なども報告されております.これらの報告もまた最初のものであって,結論を出すには時期尚早と思われますが,リウマチについて取り上げるのであれば,是非こちらも読者の皆さんに紹介していただければ,健康に対して善悪両面があるという好例になるのではないかと思い,メールした次第です.

それから文中にある「ろ過してないコーヒー」についてですが,原報でわざわざこう明記してあるのには理由があります.Heliovaaraらのいるフィンランドなどの北欧では,伝統的にコーヒーの粉を湯に入れて沸かし,その上澄みを飲むというスタイルのものが愛飲されていたのですが,同時にこの地方での疫学調査から,飲用後の血中コレステロール濃度上昇が強く見られることが知られていました.

この血中コレステロール濃度上昇の活性化合物は,コーヒーに含まれているカフェストール(cafestol)やカーウェオール(kahweol)と言うカウラン型のジテルペンで,これらがコレステロール→胆汁酸を触媒する酵素に対して阻害作用を示すこと,またこれらの成分は脂溶性であるため,ペーパーなどで濾過した場合にはフィルターとなった材質への吸着と,抽出液に含まれているコーヒーの微粉(これにも脂溶性物質が吸着している)が濾過によって除かれることによって,その抽出液中濃度は著しく低下するということが判明しています.

このため,近年では単に「コーヒー」と示すだけでなく,その抽出方法まで合わせて書かれることが多くなっております.ただし,例のHeliovaaraらの論文ではそこまで詳しくは検討していないようで,今後の検討課題として考察で述べているにすぎません.

身近な人達に好き嫌いを聞いてみると、トンカツにソースを掛ける人とショウユを掛ける人に分かれます。同時にコーヒーを好むコーヒー党とコーヒーはあまり好まない緑茶・紅茶党にも分かれます。概してソース党はコーヒー党になるようです。私達の日常生活に既にとけこんでいるコーヒーは、「両刃の剣」のように健康に対して少なくても善悪二通りの作用があるようです。

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