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307.航空機内でカゼになる率.12-12-2002.

航空機による旅行でかぜをひく危険が高くなると信じている人は意外に多いのかもしれません。私もそのように感じている一人です。この事に関しては、「286.長時間飛行と感染症」と「293. 長時間飛行とインフルエンザ」に掲載しました。また航空機を利用した乗客のかぜに罹る割合を調べた報告が新たに掲載されていましたのでこれを簡単に紹介します(JAMA288:483-486,2002)

1980年代の初め燃料効率を高めるために機内空気を還流させて空気の再利用する換気システムが導入され始めた。それまでは全て新鮮な空気を圧縮し、湿気を加えた後、冷やして換気をおこなっていた。空気を再還流する旅客機に設置してある空気フィルターは、いろいろな病原体や物質を取り除く仕組みとなっているため、この効果は大きいと言われているそうです。しかし、米軍兵舎では室内の空気を再還流させた換気システムでは、かぜに罹る率が高まるとの報告があるそうです(出典は不明)。

カリフォルニア大学の環境医学科の研究チームは、1998年の冬から春までの期間、サンフランシスコ湾地域からデンバー市との間(2時間以内の飛行時間)を旅客機で往来した乗客1000例以上を対象として、被験者は搭乗前には書面で、旅行の1週間後には電話でのアンケート方式でかぜに罹った割合を調べた。

使われた航空機は、ボーイング(B)737型機と727型機とDC‐10型機であった。B737型機とB727型機では、座席の配置、機内換気の流れ、胴体の大きさが似ていたが、B737型機は機内空気の半分を還流しており、B727型機では全て新鮮な空気を使っていた。DC‐10型機では、機内空気を還流する機体と還流しないものとがあった。

搭乗1週間後にかぜに罹った割合を調べたところ、空気を還流した機内の乗客では約19%、新鮮な空気で換気している機内の乗客では21%がかぜに罹ったと答えたそうです。かぜと報告した乗客の性別では女性が多かった。多数の乗客が機内に閉じ込められているため飛行時間が長くなるほど、ウイルスへの暴露は多くなるであろうが、今回の2時間程度の飛行ではかぜの罹り方には差がなかった。予防対策としては、握手した手は良く洗う、鼻には触れないようにするなどがあると言っています。

この調査では、「機内空気を常に新鮮なもので換気しても、また還流しても2時間程度の飛行ではかぜの罹り方には差がなかった」との結論になっています。それ以上のことにはあまり触れていません。私の印象では、「罹患率に差がない」のは良いとしても、別な問題があるように思えます。

ここに報告されている結果は、本人がかぜに罹ったと思う人の申告数によるもので、お医者さんが診たのでもなくまた検査等も行っていません。そのため少し割引して考える必要がありましょうが、それにしても本人が感染したと思った人の割合は、平均すると20%もいたことを示しています。ここで問題だと思うのは、「率に差がない」ことでなく、2時間程度であっても航空機を利用するとかぜに罹る率が極めて高くなるのではないかと言うことです。

数年前に日本国内でインフルエンザが大流行し、多くの方が亡くなりました。その冬に届出のあったインフルエンザの患者数は、全人口1億2千万人のうちの約150万人で、率にすると1.3%ほどでした。通常の冬では1.3%以下の罹患率であるのが、ところが自己申告制であったことに原因があるにしても、2時間ほど飛行機に閉じ込められると、新鮮空気でも還流空気であっても、その率は10倍ほど高くなることを示していることになります。航空機を利用するとかぜになり易いと考えるべきと私は思います。

293. 長時間飛行とインフルエンザ. 8-2-2002.」に訂正した数値を載せました。それによると、12時間もの長時間飛行し続けると機内の空気は約5回も人の体内にではいりする、別な表現をすると3時間以降に機内に存在する空気は、全て人が                       吐き出した空気であることになります。そのため、2時間の飛行では機内の空気は人が吐き出した空気でないものが混じっていることに計算上はなります。少なくても長時間飛行する国際線に使う航空機内の空気の汚れについては、もう少し検討してもらう必要がありそうです。

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