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314. 子宮ガンのワクチン実用化近し.2-10-2003.

白血病、リンパ腫や子宮癌などの一部は、ウイルスの感染によって引き起こされます。原因がウイルスであり、その感染経路が明確になると、ウイルスの感染を予防することは原則として可能となります。現時点ではこれらの癌に対するワクチンは存在しません。1つだけ例外的にワクチンが開発されているのは、B型肝炎ワクチンです。

子宮の入り口にできる子宮頸部癌は、全世界で毎年47万人の女性が罹り、そのうちの22.5万人が死亡しているそうです。子宮頸癌による死亡の大多数は、定期的な検査を受けられない発展途上国の女性が占めています。その意味では、定期検査は死亡者を減らすために意味があります。しかし、全世界では数千万人の女性が不安をいだきながら、不愉快な検査に毎年数千億円の出費を強いられていると推測されています。

子宮頸癌は、多くの場合ヒトパピローマウイルスが原因と考えられています。このウイルスは、イボを作るウイルスに似ていますが、取り扱いが非常に難しいのが特徴です。ところがこの癌に対するワクチンが実験段階にあり、あと数年で実用化される見込みが出てきたようです。

16大学と製薬会社が共同で開発しているワクチンを2392例の若い女性を対象とした研究の成果がNew England Journal of Medicine (347: 1645-1651, 2002)に発表されました。半数の女性にワクチンを投与し、残りの女性には見せかけのワクチン(専門的にはプラセボと呼びます)を投与した。一年半から二年近く観察したところ、プラセボ投与群では41例が感染し、そのうち9例で前癌性の状態でありました。ワクチン投与群では、100パーセント有効でした。6ヶ月間に3回投与されるこのワクチンは、子宮頸癌の予防に利用できるが治療には使えません。性的に活発になる前の女性に接種すれば、最も優れた予防法になるでしょう。しかし、多くの親は、10代になる娘が性的に活発であることを認めたがらないので、ワクチン接種を拒否するかもしれない、とも論文では述べている。

ヒトパピローマウイルスは、姿を見ることはできても、殖やすことができないウイルスです。そのため、子宮癌の感染経路は必ずしも的確に把握されていません。ウイルスの感染が広まるのは、異性間の性交渉によるのではと考えられています。男性器にも子宮癌のヒトパピローマウイルスがいて、それが原因となるのかもしれません。このような背景から、「性的に活発になる前の女性年齢層に接種すれば有効」という条件が付けられたのだと思います。

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