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475. 白斑(白なまず)と自己免疫疾患. 7-15-2007.
キーワード:白斑、白なまず、免疫異常
 
白斑とは
コロラド大学のRichard A. Sprizらは、皮膚疾患である白斑の遺伝子の調査研究を実施し、その結果をNew England J. Med.(356:1216-1225,2007)に発表した。白斑は遺伝と関係するという調査結果です。その概要を紹介しますが、そのまえに「白斑」について簡単に説明します。
 
俗に「白なまず」と呼ばれることもある、皮膚のメラニン色素を作る細胞が破壊されて白い斑点ができる病気です。健康に害をおよぼすことはないようですが、顔面などの白斑は心理的にはかなり患者を悩ませる原因となりましょう。
全身のどこにでも突然に色素が抜けて白い斑点が現れる病気ですが、白い斑点が数個できる人もいますが、体の大部分に白斑があらわれる人もいます。白斑の出やすい部位は、顔面、口腔、手足、性器などです。白斑では、そこに生える毛も白くなります。
白斑は、体に外傷を負ったあとや日焼けしたあとにできることもあります。遺伝的な傾向もあり、また白斑患者の30%程度が甲状腺の病気を患っていることもありますが、原因はよく判っていません。自然に治ることもあるようです。
 
白斑を多発する家計
コロラド大学のRichard A. Sprizらは、皮膚疾患である白斑の遺伝子の調査研究を実施し、その結果をNew England J. Med.(356:1216-1225,2007)に発表しました。
 
英国白斑協会の協力を得て、10年ほど前からSprizらは、白斑に関係する遺伝子の探索を始めました。最初に白斑を多発する家系を探しました。協会員に、白斑の有無と家族に白斑があるかどうかをアンケートで聞きました。と同時に他の病気、特に自己免疫疾患の有無を質問しました。
 
その結果、白斑はその他の多くの疾患ときわめて強く相関していることが判りました。自己免疫疾患の大部分は、甲状腺の疾患でありましたが、悪性貧血、リウマチ、全身性エリテマトーデス、アジソン病、自己免疫性疾患の糖尿病などでもありました。
 
この知見から、複数の患者がいる家族を対象に、患者に共通する遺伝子の類似性を調べました。その結果、NALP1遺伝子を見出しました。この遺伝子は、白斑と自己免疫性甲状腺疾患への罹患性を高める遺伝子であるらしいのです。白斑患者の約20%は、自己免疫性甲状腺疾患を持っているので、この遺伝子はおそらく白斑と自己免疫性甲状腺疾患の両方に関係しているだろうと述べています。
 
NALP1と自己免疫疾患との関連性についてのこの発見は、約2千万人の米国人が罹患している自己免疫疾患の解明に向けた重要な進歩であると米国衛生研究所の所長は評価しています。
 
自己免疫疾患の発症には、複数の遺伝子と環境因子が深く関与しています。ヒトは固有の遺伝子を持って生まれてきますが、自己免疫疾患を発症して生まれてくるわけではないのです。こうした疾患を発症させる要因が何かは判っていないのですが、それを見つけることが出来れば、発症の予防が出来るようになるかもしれない、と述べています。
 
 
免疫は生体に益する機構ですが、時として生体を攻撃して災いをうむこともあります。その一つに総称名としての「自己免疫疾患」があります。白斑は、皮膚内のメラニン細胞が破壊される慢性の疾患で、白斑は体のさまざまな部位に現れます。白斑は、皮膚とは限らず、口腔内の粘膜や目の網膜にも現れ、毛髪を白髪化することもあります。NALP1が調節すると推測される炎症経路を阻害する薬剤は、自己免疫疾患を抑制することが出来るかもしれないと期待されています。

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