▲▲  ▼▼

344. ノロウイルスと胃腸炎.1-18-2004.
 
新しいノロウイルス
ノロウイルスは、ウイルス性胃腸炎の主要な病原体です。このウイルスを増殖させる培養細胞系がいまだ存在しないため、ウイルスの検出は電子顕微鏡による形態観察に頼っており、「小型球形ウイルス(SRSV)」と呼ばれていました。
近年SRSVの遺伝子の分析が大きく進み、カリシウイルス科に属するウイルスであることが判ってきました。2002年の国際ウイルス学会でSRSVの「ノーウォーク様ウイルスはノロウイルス」と「サッポロ様ウイルスはサポウイルス」に変更が正式に承認されました。
「ノロウイルス」の分類上の順序は、「カリシウイルス科」、「ノロウイルス属」、「ノーウォークウイルス種」となります。「サッポウイルス」の分類は、「カリシウイルス科」、「サポウイルス科」、「サポウイルス種」の順序となります。
 
カリシウイルス
カリシウイルス科 Caliciviridaeを簡単に説明すると次の様になります。大きさは直径30〜40nmのエンベロープを持たない小型の球形ウイルスで、ウイルスの核酸は1本鎖プラスRNAです。カリシウイルスに属するウイルは急性胃腸炎(下痢症)などウイルス性食中毒を引き起こす病原ウイルスで、カリシウイルス科に属するウイルスには、ベジウイルス(ネコカリシウイルスが代表)、ラゴウイルス(ウサギ出血熱ウイルスが代表)、ノロウイルスとサポウイルスの4属があります。冬季の下痢症や小児の急性胃腸炎の患者排泄する糞便中に電子顕微鏡でウイルスが検出される。ウイルスの伝播は経口感染である。冬季の牡蠣の生食による食中毒としてしばしば発生します。我が国の食中毒全体の20%は非細菌性食中毒であるが、その大部分は本ウイルスによって引き起こされており、特に冬季の非細菌性急性胃腸炎の大部分は本ウイルスが原因であるようです。ウイルスの診断はウイルスの培養系がないため、電子顕微鏡によるウイルス粒子の検出やウイルス遺伝子増幅(PCR)法によります。
 
集団発生の規模
人からの感染が疑われた例では、患者数が17〜32人と33〜64人が多く、感染が起こった場所は学校、保育園、幼稚園と養護施設が多いようです。さらに食品による媒介が疑われる例の感染の原因を摂取した場所は、家庭では8人以下が大部分、飲食店や宿泊施設では小規模〜大規模まで多様です。学校や養護施設では33人以上が多かったとのことです。
ウイルスは、胃液の酸度(pH3)や飲料水に含まれる程度の塩素には抵抗性を示す。また温度に対しては熱(60℃)程度では抵抗性を示すので生カキの中心温度が85℃に到達してから1分間以上加熱する必要があります。
 
「331. 生カキを安全に食べる対策. 9-20-2003.」「97.生カキのウイルス汚染の意味.6-30-98.」も参考にしてください。

▲▲  ▼▼



Copyright (C) 2011-2024 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.