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405. 手についたウイルスの有効な除去法. 6-7-2005.
 
手につけた細菌をキレイにする
黄色ブドウ球菌による化膿した傷口がある人がオニギリを作ったまたは調理に携わったとします。それで傷口の膿を耳掻き一杯程度をオニギリや料理に付けてしまったとします、すると1億個から10億個の?黄色ブドウ球菌を加えたことを意味します。大変なことになります。
手を清潔にするために「手を洗いましょう」と学校でも、給食センターでも、医療施設でも奨励しています。しかし、その手洗いの方法が問題なのです。
 
ある病院で働いている技師に協力してもらい手をキレイにする実験を行い、その結果を265.手洗いがカゼを少なくする. に掲載してあります。そこには次のような記載があります。
・・・・ある病院の微生物検査室で働いている3名の臨床検査技師の協力を得て、簡単な試験を行いました。目的は手洗いがどの程度効果があるのかを知る事でした。そのために一定量の大腸菌を手に直接塗った後、各人が通常行っている方法で手を洗ってもらいました。手を洗う前後の細菌数を定量して、手洗いの効果を調べました。その結果を割合に換算して表にまとめました。

消毒薬による手洗いの効果
洗い方 技師 #1 技師 #2 技師 #3
手洗い前 100% 100% 100%
石けん 21% 100% 100%
消毒薬 0% 67% 0%
強酸性水 74% 100% 100%

実験の対照としての手洗い前は、3人の手から塗付した100%の大腸菌が回収されました。最初に普通の化粧石けんで洗った後水道水で石けんを洗い流し手では、二人の手からは100%の大腸菌が検出されました。一人だけ20パーセントに減少していました。次に病院でよく使われている有名な消毒薬を使ってもらいましたが、期待通りの成績は2人のみで、一人は67パーセントが回収されました。最後に強酸性水で洗ってもらいましたが、3人の手は細菌学的にはキレイになりませんでした。さて、この成績はなにを示しているのでしょう。手をキレイにするには、なにを使ったら良いかではなく、どのように洗うかが大切であることを如実に示していると思います。#2の人は、手の洗い方を知らないのだと思います。・・・
 
ウイルスのついた手の洗いかた
米国ノースカロライナ大学保健医療システム部のE.E.S-Bennett博士らは、成人ボランティアを対象に細菌とウイルスの除去効果を同時に調べました。その結果が米国感染症制御学誌(A. J. Infection Control 33:67-77, 2005) に掲載されました。その概要を紹介します。
ボランティアとして参加した成人62例を対象に14種類の手洗い製剤の細菌とウイルスの除去効果を同時に調べた。ボランティアの手を消毒させてから霊菌(セラチア菌)と細菌ウイルス(ファージ)で汚染させた。汚染させた後、種々の手洗い製剤でわずか10秒間洗浄させ、洗浄後に残存しているセラチア菌とファージを定量した。多忙な医療従事者が病院で手指の洗浄や消毒にかける平均的な時間が10秒間であたためである。
 
手指に付着した細菌を減らすには、抗菌製剤が最も有効であった、速乾性アルコール製剤は効果が低いこともあり一定でなかった。ウイルスは、消毒剤に抵抗性が比較的に強いため、石鹸と流水による物理的除去が最も有効であった。
抗菌手洗い製剤は、擦り込み式アルコール製剤や拭き取り式速乾性製剤に比べ細菌の除去効果は高かった。また拭き取り式製剤以外の全ての製剤は、10秒間という短時間の使用で手指に付着した細菌が90%減少した。比較的抵抗性の強いウイルスに対して、擦り込み式アルコール製剤は、ほとんど有意な除去効果を示さなかった。そのため従来からの石鹸と流水による手洗いを推奨または強制することも重要であろうと述べています。
 
米軍では1日に5回の手洗いを強制したらカゼに罹る率が低下したと報告して言います(265.手洗いがカゼを少なくする)。抗菌剤は細菌に対しては有効でもウイルスに対してはほとんど効果がない。手洗いの合成洗剤でも手が荒れる人が沢山います。そのため抗菌洗剤もできれば余り使わないで、ことあるごとに石鹸と流水による手洗いを励行することが手に優しく且つ細菌にもウイルスにも最も効果的であると思います。

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