516. HIVと結核の複合感染. 2-2-2008.
キーワード:結核、薬剤耐性結核、HIV、複合感染
米国CDCのJ. Peter Cegielski博士らは、米国では広範囲薬剤耐性結核(XDR−TB)は過去15年間で減少してはいるが、新症例は依然として報告されている、またXDR−TB患者はHIVとの複合感染で死亡率が高いとに発表した(JAMA: 300;2153-2160,2008)。
Cegielski博士らは、全世界で結核は依然として感染症による主要な死因となっている。薬剤耐性結核は、2006年でも新たに49万例が発症し、このところ拡大を続けて依然として脅威となっている。
多剤耐性結核(MDR−TB:最もよく使われる抗生物質は、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、ストレプトマイシン、エタンブトールで、これらに耐性があるもの)の治療は、長期間の集中治療と毒性の強い治療コースからなるため、薬剤感受性結核に比べ100倍以上の費用がかかる問題がある。
広範囲薬剤耐性結核(XDR−TB:イソニアジド、リファマイシン、フルオロキノロンの3剤にアミカシン、カナマイシンまたはカプレオマイシンの少なくとも1剤に耐性があるもの)が結核の新しい分類として規定されている。
米国では、1993年から2007年に83例のXDR−TBが報告されている。その患者数は、1993年の18例から2007年の2例に減少している。1993年から1997年に報告されたXDR−TB40例のうち、25例(62%)はHIV感染者でもあった。一方、1998年から2007年のXDR−TB43例のうちHIV感染は6例(14%)に減少していた。
1993年から2007年のXDR−TB83例は、過半数が25才から44才(58%)で、男性(64%)で、米国生まれ(54%)の無職(53%)の者であった。そのうち33例(40%)はヒスパニック系で、3例(4%)は医療従事者であった。
またXDR−TB26例(53%)が治療中に死亡し、そのうち21例(81%)がHIV感染者であった。XDR−TB患者の死亡率は、MDR−TB患者に比べてほぼ2倍、薬剤感受性結核患者と比べると6倍以上に高いことが判明したと述べています。
HIVの感染者は、一般人と比べて免疫力が低下しているので、結核に限らず、感染症には弱い傾向がある。この報告のように毒性が強い薬剤での治療を受けている患者のHIV感染は命取りになる可能性が高いことが判った。薬剤での治療を長期間にわたり続けて受けているガン患者や糖尿病患者は、感染症にかかり易い。愛する人および自分の健康には留意しましょう。
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