◆殺菌[sterilization]

 微生物を殺す作用を殺菌、増殖を抑える作用を静菌と言う。殺菌作用を持つ薬剤を殺菌剤、そのうち消毒が目的のものを消毒剤(消毒アルコール等)と言う。静菌作用をもつ薬剤を静菌剤(ペニシリン等が有名)、そのうち防腐を目的とするものを防腐剤(高濃度の食塩等)または保存剤という。
関連 微生物
関連 消毒

 一般に微生物を種々の方法で殺滅することを殺菌という。高熱や高圧をかけたり、紫外線を用いるような物理的な殺菌を滅菌という。これに対して、アルコールや塩素などの薬剤を用いる化学的な殺菌を消毒(disinfection)という。
滅菌法にはバーナーなどの炎で直接殺菌する火炎滅菌、沸騰水で殺菌する煮沸滅菌、乾燥した高温のオーブン中で殺菌する乾熱滅菌、高圧滅菌器(オートクレーブ)で殺菌する高圧滅菌、殺菌性のあるガス(エチレンオキシドやオゾンなど)を用いるガス滅菌(化学物質であるから消毒でもある)のほか紫外線殺菌、超音波殺菌、放射線殺菌などがある。これらの滅菌法は滅菌する対象によって使い分けられている。火炎滅菌、乾熱滅菌、煮沸滅菌はおもにガラス・金属器具、高圧滅菌は培地や溶液、ガス滅菌は高温、高圧で変化する合成樹脂製品や繊維製品などに用いられる。また、一般に厨房や食品工場など食品を扱う場所や無菌室では紫外線滅菌がよく用いられている。しかし、バチルス属(炭疽菌、セレウス菌、枯草菌)やクロストリジウム属(ボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌)の細菌は芽胞をつくって耐熱性になるので容易に殺菌されない。そこで、器物を完全に滅菌するには火炎滅菌か乾熱滅菌を数回繰り返す間歇滅菌とよばれる方法が用いられる。
そのほかに清浄な空気中で作業する工場(食品、コンピューター)、手術室、研究室などでは空気の濾過除菌装置が用いられ、高温で分解する溶液を濾過して無菌的にする濾過除菌もしばしば行われている。
一方、種々の薬剤が使用される消毒は病院、工場、研究室、家庭などで簡単に殺菌できるのでよく行われているが、消毒薬は殺菌作用が強く、人体や器物が障害を受けることもあるので、充分に注意しなければならない。
そのほかおもに農林水産業では病原菌や害虫の駆除のために、種々の殺菌剤が使用されているが、これらの殺菌剤も人体、農林作物、水産物などや環境への悪影響を充分に配慮して使用しなければならない。

関連 消毒
関連 バチルス属
関連 炭疽菌
関連 セレウス菌
関連 枯草菌
関連 クロストリジウム属
関連 ボツリヌス菌
関連 破傷風菌
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